「三光塾からのお知らせ」
➀ケアリーバー支援について
「ケアリーバー応援企業拡大プロジェクト 施設見学会開催報告」はこちら(PDF)
➁2025年度新規職員採用について
「2025年度新規職員採用試験の実施について」はこちら(PDF)
「2025年度新規職員求人票(常勤指導員)」はこちら(PDF)
「2025年度新規職員求人票(里親支援専門相談員)」はこちら(PDF)
「子どもと家族に寄り添う施設として」
近年、少子化か進み、昨年の統計では18歳以下の子ども人口が戦後最低の数字になっています。
子育ての課題は山積し、いまや1つの家庭だけでは充分な子育てが難しい状況にもなっています。
社会制度もその状況に見合ったものになかなか追いつかず、子育て不安や不安定な家庭状況が増加しています。
その中でも最も深刻な課題である保護者や家族による子どもへの虐待のケースは、2006年度の厚生労働省の統計では、34000件以上にものぼっています。
しかしながら、これらのケースは決して特別な家庭にのみ起こる出来事ではなく、現代の子育て家庭や保護者の養育不安や孤立した姿の現れだと考えることができます。
中には、一生懸命子育てを考え、苦しみ悩みながら結果的に子どもに手を上げることを防ぐことができなかった家族もあります。
私どもが1996年より実施している24時間子育て電話相談「ハッピートーク」にも、今でも年間700件近くの相談が寄せられています。
この状況は、単に「子育てが、個別の家族のみの問題ではなく、社会全体で考える課題であり、
「子育て」を相談し支えてゆく有効な社会的なシステムを位置にも早くつくり上げることが、何よりも大切なことだと考えています。
全国に579ヵ所ある児童養護施設は、児童福祉法41条に規定された公的な施設です。三光塾ももその一つで1946年から開設運営しています。上に述べたように、「子育て」を支える社会的なシステムの中で児童養護施設は、困難な子育ての課題に真っ正面から取り組み、「利用者の側にたったサービス」を提供する役割をあたら得られた施設だといえます。さまざまな課題を抱えた子どもたちが、「安全で安心して生活できる」環境を整え、また、その家族とともに子どもたちの成長に寄り添うための働きを進めてゆきたいと願っております。
兵庫県児童養護施設連絡協議会2000年4月、施設における子育ての基本的な支援基準として定めた「今、子どもたちへ」の理念を実行するために、三光塾も「子育て支援のめあて」を定め、その理念に添って、今年度も、下記のようなことを目標に上げたいと考えています。
①子どもと家族を支え、寄り添える施設として
(ファミリーソーシャルワークの充実)
子どもたちが安全で安心できる環境の中で生活できるように
・子どもたちの課題に積極的に取り組み、心のケアをすすめる
・家族の思いを受け止め、「ともに子育て」ができるように
②地域における子育て支援の役割を
(三光塾・御殿山ひかりの家・ひかり保育園の運営を通して)
地域での子育て支援をすすめるために
・子育て相談やショートステイを充実し、子育て支援の利用施設としての充実をすすめる
・子どもと家族のコニュニティづくり、子育てセミナーなどの研修企画、情報提供など
・学校における福祉教育への参画の推進
・地域の子育て支援を目的にした「ひかり保育園」の活動
(西宮市上大市地区定員90名’05年4月1日より開設)
③「子どもの権利擁護」への積極的な役割を果たすために
(子どものアドヴォカシー・代弁者としての役割)
「子どもの権利条約」に謳われた子どもの最善の利益を保障できるように
「子育て支援のめあて」に謳わった子どもたちの権利と責任の保証
・子どもたちが本当に守られている環境を作り上げるシステムを構築する
・子どもの権利擁護に関する情報発言、子どもの権利擁護に関する研修の企画と自己研修の充実
・施設オンブズマンや苦情解決システムの有機的な運営や第三者評価による利用者の満足度の向上
④子どもの虐待
(地域の人々との結びつきと協働)
「ハッピートーク」や阪神子どもの虐待防止ネットワーク”ほっと”等の活動を中心として、関係機関や地域資源との密接な連携体制を(児童福祉法や児童虐待防止法、次世代育成対策推進法など)
・近隣児童福祉施設・児童養護施設・保育所・乳児院・母子生活支援施設等との連携
・主任児童委員、民生児童委員や行政機関との連携体制づくり
・要保護児童対策地域協議会や子育てネットへの積極的な参画
・民間の機関・社会教育団体と協力して虐待防止ネット活動推進
・CAPにしのみや(Child Assault Prevention)事務局として研修企画・広報活動
・阪神子どもの虐待防止ネットワーク”ほっと”の活動を通して虐待防止相談啓発活動を
⑤子どもの自立・自助支援の充実を
(子どもたちの自立についての社会的な環境の充実)
子どもたちが安心して自立、自律し、また不安なときに気軽に相談できる態勢づくりを充実させる。
・幅広い自己選択、自己責任をとれるような子どもの進路保障態勢作り
・不安定な自立後の状況を支える進路補償基金の充実
・高校や大学への進学の積極的な支援(奨学金の開発)
⑥グループホーム「御殿山ひかりの家」の運営(地域小規模児童養護施設)
(生活環境の充実と地域との関わり)
2002年11月に宝塚市御殿山に開設した「御殿山ひかりの家」の運営を充実し、宝塚地域における子育て支援サービスにも応え、三光塾と密接な連携をとりながら運営していける態勢をつくる
・24時間電話相談「ハッピートーク宝塚」を中心とする相談事業
・御殿山あゆみ保育園/御殿山児童館との協力のもと、子育て相談やショートステイなどの身近な子育て支援を「頼れるお隣さん」として行う
⑦ひかり保育園の運営
(子どもたちの「昼間のお家」としての存在と身近な子育てのお手伝い)
2005年4月に西宮市上大市に開設した「ひかりの保育園」において、0歳から就学前の子どもたちの「昼間のお家」として、保護者とともに子どもたちの安心と安全を提供し、三光塾と連携をとりながら24時間子育てのお手伝いができる存在として活動する。
「子育ての難しい時代」という言葉は、日々、私たちが関わる事例を通して実感しています。養育不安が特別な家庭の事ではなく、どこにでも起こりうることだという認識も必要です。また、子どもの「ありのままの個性」が受け入れられず、大人の思いに翻弄され悩み苦しんでいる子どもも多いです。そのような状況において、地域の中で「子どもと家族に寄り添う」身近な存在として、子どもと家族の悩みを「ありのまま」受けとめ、「一人ひとりが豊かに生き、大切にされていると感じることができるように支えあう社会をつくる…」その一端を担う施設でありたいと願っています。皆さまのご協力をお願い申し上げます。
三光塾 総合施設長 側垣 一也